【余因子展開】4×4行列、5×5行列の行列式の求め方を解説 (2024)

前の記事では1×1、2×2、3×3行列の行列式の求め方について解説しました。

サラスの規則とは?行列式の求め方を解説

これらの行列は「サラスの規則」を使えば簡単に行列式を求めることができました。
しかし、サラスの規則は4×4以上の行列には使えません。

今回はそんな4×4以上の行列の行列式の求め方を解説していきます。

余因子展開で行列式を求める

次のような4×4の行列式Aがあったとします。$$A = \left[\begin{array}{rrrr} a_{11} & a_{12} & a_{13} & a_{14}\\ a_{21} & a_{22} & a_{23} & a_{24}\\ a_{31} & a_{32} & a_{33} & a_{34}\\ a_{41} & a_{42} & a_{43} & a_{44}\end{array} \right]$$

正方行列Aのi行とj列を取り除いた行列に(-1)^(i+j)をかけたものを行列Aの「(i,j)余因子」といいます。これをAijとするとAの行列式は

$$|A| = a_{i1}A_{i1} + a_{i2}A_{i2} + a_{i3}A_{i3}+……+a_{in}A_{in}(i = 1,2,…,n)$$

または

$$|A| = a_{1j}A_{1j} + a_{2j}A_{2j} + a_{3j}A_{3j}+……+a_{nj}A_{nj}(j = 1,2,…,n)$$

となります。
1つ目を「第i行についての余因子展開」、2つ目を「第j行についての余因子展開」といいます。

これに従って行列Aを第1列について余因子展開すると

$$A = a_{11}\begin{vmatrix} a_{22} & a_{23} & a_{24}\\ a_{32} & a_{33} & a_{34} \\ a_{42} & a_{43} & a_{44}\end{vmatrix} - a_{21}\begin{vmatrix} a_{12} & a_{13} & a_{14}\\ a_{32} & a_{33} & a_{34} \\ a_{42} & a_{43} & a_{44}\end{vmatrix} + a_{31}\begin{vmatrix} a_{12} & a_{13} & a_{14}\\ a_{22} & a_{23} & a_{24} \\ a_{42} & a_{43} & a_{44}\end{vmatrix} - a_{41}\begin{vmatrix} a_{12} & a_{13} & a_{14}\\ a_{22} & a_{23} & a_{24} \\ a_{32} & a_{33} & a_{34}\end{vmatrix} $$

となります。

また第1行について余因子展開すると

$$|A| = a_{11}\begin{vmatrix} a_{22} & a_{23} & a_{24}\\ a_{32} & a_{33} & a_{34} \\ a_{42} & a_{43} & a_{44}\end{vmatrix} - a_{12}\begin{vmatrix} a_{21} & a_{23} & a_{24}\\ a_{31} & a_{33} & a_{34} \\ a_{41} & a_{43} & a_{44}\end{vmatrix} + a_{13}\begin{vmatrix} a_{21} & a_{22} & a_{24}\\ a_{31} & a_{32} & a_{34} \\ a_{41} & a_{42} & a_{44}\end{vmatrix} - a_{14}\begin{vmatrix} a_{21} & a_{22} & a_{23}\\ a_{31} & a_{32} & a_{33} \\ a_{41} & a_{42} & a_{43}\end{vmatrix}$$

となります。

これで行列式|A|は3×3の行列式になりました。3×3ではサラスの規則が使えるので行列式を求めることができます。

5×5以上の行列式も同様に行います。
5×5の行列式ではどこかの列か行で余因子展開をすると4×4の行列式になります。そしてもう一回どこかの列か行かで余因子展開をすると3×3の行列式になります。3×3ではサラスの規則が使えるので行列式を求めることができます。

基準にする行または列は自由に選んで大丈夫です。できるだけ計算が簡単になるようなものを選ぶことをおすすめします。

それでは練習問題で演習してみましょう。

練習問題

(1)次の行列Aの行列式を求めよ。$$A = \left[\begin{array}{rrrr} 2 & 1 & 3 & 1\\ 0 & 1 & 4 & 2\\ 1 & 2 & 1 & 4\\ 3 & 1 & 2 & 1\end{array} \right]$$
(2)次の行列Bの行列式を求めよ。$$B = \left[\begin{array}{rrrrr} 3 & 1 & 2 & 4 & 5\\ 3 & 0 & 3 & 2 & 3\\ 1 & 1 & 5 & 2 & 3\\ 1 & 2 & 0 & 5 & 2\\ 4 & 1 & 3 & 2 & 1\end{array} \right]$$

【解答】
(1)行列の要素に0が含まれている場合、0が含まれる行または列を基準に選ぶと計算が楽になります。ここでは第1列について余因子展開をします。

$$|A| = 2\begin{vmatrix} 1 & 4 & 2\\ 2 & 1 & 4 \\ 1 & 2 & 1\end{vmatrix} - 0\begin{vmatrix} 1 & 3 & 1\\ 2 & 1 & 4 \\ 1 & 2 & 1\end{vmatrix} + 1\begin{vmatrix} 1 & 3 & 1\\ 1 & 4 & 2 \\ 1 & 2 & 1\end{vmatrix} - 3\begin{vmatrix} 1 & 3 & 1\\ 1 & 4 & 2 \\ 2 & 1 & 4\end{vmatrix} $$

これで3×3の行列式になったのでサラスの規則より行列式は$$|A| = 14 - 0 + 1 - 21 = -6$$となります。

(2)これも行列の要素に0が含まれているので0が含まれる行または列を基準に選ぶと計算が楽になります。
ここでは第2列について余因子展開をします。

$$|B| = -1\begin{vmatrix} 3 & 3 & 2 & 3\\ 1 & 5 & 2 & 3\\ 1 & 0 & 5 & 2\\ 4 & 3 & 2 & 1\end{vmatrix} -1\begin{vmatrix} 3 & 2 & 4 & 5\\ 3 & 3 & 2 & 3\\ 1 & 0 & 5 & 2\\ 4 & 3 & 2 & 1\end{vmatrix} +2\begin{vmatrix} 3 & 2 & 4 & 5\\ 3 & 3 & 2 & 3\\ 1 & 5 & 2 & 3\\ 4 & 3 & 2 & 1\end{vmatrix} -1\begin{vmatrix} 3 & 2 & 4 & 5\\ 3 & 3 & 2 & 3\\ 1 & 5 & 2 & 3\\ 1 & 0 & 5 & 3\end{vmatrix} $$

これで4×4の行列式になりました。同様に4×4の行列式に対してもそれぞれ余因子展開をしてそれぞれの行列式の値を求め、3×3の行列式にします。サラスの規則より行列Bの行列式は

$$|B| = -1*(-134) -1*(-43) +2*(-60) -1*(-98) = 155$$

となります。(4×4の行列式の計算過程は省略しました。)

おまけ

練習問題を解いてみて「0が多く含まれる行または列を選択すると計算が楽になる」ということが分かったと思います。
これを利用するために行列式の性質を使えばもっと簡単に計算することができます。
行列式では「行または列を定数倍して他の行または列に加えても行列式の値は変わらない」という性質があります。
これを利用して練習問題の(1)、(2)を解いてみます。

(1)第2列を-1倍して第4列に加えると$$|A| = \begin{vmatrix} 2 & 1 & 3 & 0\\ 0 & 1 & 4 & 1\\ 1 & 2 & 1 & 2\\ 3 & 1 & 2 & 0\end{vmatrix}$$第4列に0が2つ存在するので第4列について余因子展開をすると

$$|A| = + 1\begin{vmatrix} 2 & 1 & 3\\ 1 & 2 & 1 \\ 3 & 1 & 2\end{vmatrix} - 2\begin{vmatrix} 2 & 1 & 3\\ 0 & 1 & 4 \\ 3 & 1 & 2\end{vmatrix} = - 8 - 2*(-1) = -6$$

となります。

(2)第3行を-1倍して第2行に加えると$$|B| = \begin{vmatrix} 3 & 1 & 2 & 4 & 5\\ 2 & -1 & -2 & 0 & 0\\ 1 & 1 & 5 & 2 & 3\\ 1 & 2 & 0 & 5 & 2\\ 4 & 1 & 3 & 2 & 1\end{vmatrix}$$第2行を第1行に加えると$$|B| = \begin{vmatrix} 5 & 0 & 0 & 4 & 5\\ 2 & -1 & -2 & 0 & 0\\ 1 & 1 & 5 & 2 & 3\\ 1 & 2 & 0 & 5 & 2\\ 4 & 1 & 3 & 2 & 1\end{vmatrix}$$さらに第5列を-1倍して第1列に加えると$$|B| = \begin{vmatrix} 0 & 0 & 0 & 4 & 5\\ 2 & -1 & -2 & 0 & 0\\ -2 & 1 & 5 & 2 & 3\\ -1 & 2 & 0 & 5 & 2\\ 3 & 1 & 3 & 2 & 1\end{vmatrix}$$第1行に0が3つ存在するので第1行について余因子展開すると

$$|B| = -4\begin{vmatrix} 2 & -1 & -2 & 0\\ -2 & 1 & 5 & 3\\ -1 & 2 & 0 & 2\\ 3 & 1 & 3 & 1\end{vmatrix} +5\begin{vmatrix} 2 & -1 & -2 & 0\\ -2 & 1 & 5 & 2\\ -1 & 2 & 0 & 5\\ 3 & 1 & 3 & 2\end{vmatrix} = -4*90 + 5*103 = 155$$

となります。(4×4の行列式の計算過程は省略しました。)

0の要素を増やすことにより計算が簡単になったことがわかると思います。

【余因子展開】4×4行列、5×5行列の行列式の求め方を解説 (2024)

FAQs

行列式に0があるとき、行列式はどうなる? ›

(i) 行列式のどこか一つの行がすべて0ならば、その行列式の値は0である。 からすぐにわかる。

行列は縦横どっちに並べる? ›

数や文字を縦横に並べたものを行列という. 行列内の数や文字をそれぞれ,行列の成分という. 行列の横の並びを行,縦の並びを列という

行列の列基本変形とは? ›

定義 1. 行列の列基本変形とは,以下の 3 種類の変形のことである. (1) 1 つの列に 0 でない定数を掛ける. (2) 2 つの列を入れ替える. (3) 1 つの列の定数倍を他の列に加える

行列は数学で何に使う? ›

行列は、点やベクトルなどの座標の変換に使ったり、連立方程式を解くときのツールとしても使われたりします。 物理や工学では、行列を活用するプログラムで連立方程式を解く場面も。

行列はいつ廃止になりましたか? ›

「行列」の単元は,平成20,30年改訂では消えている のです。 詳細を表 2 で見てみましょう。 平成20年に は数学Cがなくなり,数学活用が新たに設けられま した。 「行列」については,数学活用の中で教科書 数ページ程度と極めて簡単に扱われているに過ぎま せん。

行列が0になる条件は? ›

行列式の2つの行(または列)が一致するなら,その行列式の値は0になる.

列と行はどっちが縦ですか? ›

横(水平)方向に向かうのが行(ROW)。 データベースとしてExcelを使う場合はレコードと呼ぶこともあります。 行見出しは1、2、3と数字で表すのが一般的です。 ・縦(垂直)方向が列(COLUMN)。

Excelの行列のどっちが行列ですか? ›

行列で迷ったらカタカナの1画目』です。

「行(ギョウ)」の「ギ」の1画目は右(≒横)に向かって書きますので、「行」は横の1ラインが行です。 「列(レツ)」の「レ」の1画目は中央上から下(≒縦)に向かって書き始めます。

Excel line row どっち? ›

ビジネス等でエクセルを使う機会は多いですが、データシートの「行」と「列」って縦と横のどっちだっけ?と悩んでしまうことがあるかもしれません。 「行」が横で、「列」が縦ですが、その覚え方として、漢字と紐づけて覚えるというやり方があります。

行列は誰が考えたのですか? ›

行列は誰が考えたのですか? 答. 19世紀の数学者ケーリー (Cayley) が最初に発見したと言われています. 本格的に研究され始 めたのは,20世紀に入ってからで,量子力学の発見が大きな契機になったといわれています.

行列の基本的な操作は? ›

行列の2つの行を入れ替える、特定の行に非ゼロのスカラーを掛ける、ある行に別の行のスカラー倍を加える、などの操作を総称して行基本操作と呼びます。

行列の行標準形とは? ›

行列 が与えられたとき、それと行同値な行既約な階段行列が存在するとともに、それは一意的に定まることが明らかになりました。 そこで、行列 と行同値な行既約な階段行列を の行標準形(row canonical form)と呼びます。

数学C いつ習う? ›

したがって、 文系志望者には 「数 学C」の “ベクトル” を履修させる高校が多いと思われ ます。 このことから「数学C」は高校2年生から積極的 に扱うほうが自然な流れとなりそうです。

数学C 何をやる? ›

数学Cは「式と曲線」「複素数平面」を「平面上の曲線と複素数平面」という一つの単元にまとめられ、さらに数学Bから「ベクトル」が数学Cに移行します。 数学Bは従来からの「数列」と「統計」が残りますが、「統計」が「統計的な推測」とボリュームアップし、必須化されます。

行列はいつ消えた? ›

ある年代より上の人たちには驚きかもしれませんが、かつて高校数学で学んでいた「行列」は、現在高等学校の学習指導要領から消えていました(厳密に言えば消えたというのは言い過ぎで、、2009年公示、2013年度高校入学生より実施の学習指導要領から行列は大幅に内容を縮小して「数学活用」という科目に移っていました。

行列のOとは何ですか? ›

れい‐ぎょうれつ〔‐ギヤウレツ〕【零行列】

数学で、行列の各要素がすべて0のもの。 ふつう、Oと書く。 行列Aについて、AO=Oを満たす。 ゼロぎょうれつ。

2つの行が等しい行列の行列式は? ›

2 つの行が等しい行列の行列式は 0 である.

行列の行と列が同じだとどうなる? ›

行と列の数が同じである行列は正方行列と呼ばれる。 無限の行または列をもつ行列を無限次行列と呼ぶ。

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